カラー

記憶の中の桜は実際よりも濃いピンク

投稿日 2019年04月02日

桜とティーカップ

 

いよいよ桜が開花桃の花しましたね。四条河原町近辺では5分咲きぐらいでしょうか。開花予想よりも5日ほど遅いような気がします…。
東京ではもうすでに満開だということですが、桜前線は西から上がっていくはずなのに、今年は何だか変ですね。

 

私の家の近所も桜の名所が多くて、写真を撮ったりカメラ、絵を描いたり絵具のパレットしている人が沢山います。
桜の絵を見ると、大体明るいピンクで描かれていますよね?
皆さんは桜の花が散った時の花びらを手に取ってジッと見てみたことありませんか?

 

一番メジャーな“ソメイヨシノ”の花びら自体はほとんど白に近いです。ほんの少しだけ、ピンクがかっているだけで、かなり白いのが桜の花の実態です。でも私たちはもっと濃いピンクだと思っています。
これを“記憶色”といいます。

 

記憶の中に残る色は、私たちが勝手に「桜はこんなイメージ」と思ってしまっている色なのです。
自分で撮影した桜の写真を見て「色がきれいに再現できてないなあ…」などと思ったりするのも、自分のイメージと違うからです。

 

“記憶色”は言い換えれば思い込みに過ぎない色と言えるのですが、商業用の写真や、雑誌やテレビで使われる画像などはフィルターをかけて撮影したり、後から色の補正をしたりして“記憶色”に近づける加工をする方が好まれる傾向にあります。

 

“記憶色”では、明るい色はより明るく、暗い色はより暗く、鮮やかな色はより鮮やかにと、実際の色を強調したものになります。私がシンガポールで急遽買った冷房対策のカーディガンは私の記憶の中ではかなり暗いダークブラウンだったのですが、昨夏に「確かあったな…。」と思って探してみると、思っていたよりも明るめのブラウンでした。これは“記憶色”のセオリーに合ってます。
ただ、桜はかなり白い“明るい色”なので、より明るくなるともっと白に近づくはずなんですが、
“鮮やかな色”の傾向のように、実際よりも色みが濃く、鮮やかなイメージになっています。
これはセオリー通りではないのです。

 

桜を使って桜色の布を染色(桜染め)しようとすると、桜が咲く前の小枝枝で染めるといいのだそうです。安易に桜の花で染めればいいと思いがちですが違うんですね。
「若さがあって素直」な木であれば、きれいなピンクに染まるということですが、これが実際の樹齢のことではなく、樹齢150年の桜老人でも「若さがあって素直」なものもあれば、4、5年の若木子供でも「若さ」「素直さ」もない桜もあるそうで、まるで人間のようだと染色家の方が話されていました。

 

また、桜はその花芯や、樹皮、葉などでも染色ができるのですが、花芯や樹皮では茶系の色に、葉では黄色オレンジのような色になるということです。きれいな桜色=ピンクに染めるにはやはり枝がいいらしく、きれいな花を咲かせるために、枝にピンクのエネルギーを貯めこんでいるような、「ピンクの花を咲かせてやろう!」という意気込みを感じるような、どこか健気な気がします。
染まるピンクも時期や桜の状態や媒染するものにより、微妙に色が変わるそうで、桜の繊細さも感じられますね。

 

人間のように「複雑」「健気」で、1週間ほどで散ってしまう「はかなさ」もある。そんな桜に魅了されて、私たちは桜のピンクを実際よりも濃く、鮮やかに、“記憶色”のセオリーから外れて記憶しているのかもしれませんね。

 

桜の花に浮かれる日本人は外国の方から不思議がられるようですが、それでも全然いいのです。
今週のお休みには、家族とうちのかわいいトイプードルプードルのクレアちゃんと一緒にお弁当持ってお花見に行き、実際よりも色濃いピンクの桜を記憶に焼き付けたいと思います桃の花桃の花桃の花桃の花桃の花

 

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HADAEMI KYOTO 店長 竹村禎子
カラー&イメージコンサルタント
・文部科学省後援 ファッションコーディネート色彩能力検定1級

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・商工会議所認定 カラーコーディネーター検定(ファッション色彩)1級
・文部科学省後援 色彩士2級

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