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入学式はなぜ黒っぽいリクルートスーツなのか?

投稿日 2019年04月09日

リクルートスーツの女性

 

先日、自宅の近所で、某有名私立大学と某超有名国立大学の入学式さくらさくらさくらが行われていました。
最初は、何が催されているのかが分からず、ただ黒っぽいスーツを着た若い人たちが、ぞろぞろと同じ方向へ向かって歩いて行くので、「就職博でもあるのかな?」などと思っていましたが、大学の入学式だったのです。本当にリクルートスーツの人の波だったので、全く入学式とは思いませんでした。

 

そういえば4年前、私の姪に芸大の入学式に「黒いスーツを貸してほしい」と言われたのを思い出しました。

 

私が大学へ入った時などは、誰も黒っぽいスーツなど着ていなくて、ワンピースワンピースや、おしゃれ着で出席していました。私自身もベージュとピンクのニットのシャネルスーツ風のものを着ていったのを覚えています。
会場全体が入学式らしい、華やかで、晴れがましくて、希望のある印象だったと思います。

 

なぜ「リクルートのような黒っぽいスーツを着る」ということになってしまったのでしょう?

 

それは、「一般的な大学生は、入学式以降、大学生活でスーツを着る機会がないから」だそうです。

 

入学式が終わってしまうと大学在学中はほとんどカジュアルな服装です。男性であれば成人式や卒業式でも着る機会もあるかもしれませんが、女性の場合は成人式は振袖、卒業式は袴の人が多いですね。そうなると、大学在学中にスーツを着る機会は、入学式と就職活動の時の2回しかないということになります。

 

バブルが崩壊して以降、長い不況に入った日本では、「2回しか着ないのなら両方に使えるものにしたほうがいい、勿体ないから」という風潮になり、“大学の入学式=リクルートスーツで行く”が当然のようになってしまったのだとか…。
これはただの慣例なので、コストが多少かかってもいいのであれば、その人の着たいと思う服装で出席しても、何の問題もないのです。

 

ただ、「個性を出さずに周りに溶け込みたい」とか「目立ちたくない」と思う人が多くて、リクルートスーツ以外を選ぶ人が非常に少ないのが現状です。

 

黒っぽいスーツと書きましたが、厳密にはリクルートスーツとして、男女問わず「良し」とされるのは、「ブラック」「ダークネイビー」「ダークグレー」です。いずれもかなり黒に近い暗い色です。

 

元々「ブラック」というのは、かなり個性の強い色でした。「死」「悪」「闇」などのイメージや、「強く」「クール」「格好いい」というイメージがあり、心理的にも「無理に苦手な人と調子を合わせたりしたくない」とか「何をするかなどの命令をされるのが嫌い」とか、反抗的な一面を表す色でもあります。いいイメージだと冠婚葬祭で使うことのできる「フォーマル」な色という部分が、リクルートにふさわしいと言えるのではないでしょうか。フォーマルシーンなどに色々使いまわせる“便利な色”として好まれたのか、現在人気第1位になっています。

 

「ダークネイビー」は元々スーツの中では最もフォーマルな色でした。リクルートスーツの基本は本当はこちらです。「知的」「上品」「控えめなどのイメージの色で、「誠実で、慎重に、きちんと物事に対処していく」とか「我慢強いし根気もある」のを表すとか「組織的に動く時に着るといい」と言われ、極めて日本的に“美徳”とされる印象の色で制服によく使われていたりもします。
面接官にはとても受けのいい色です。

 

「ダークグレー」は男性にはとても人気がありますね。「安定」や「知的」「おおらか」なイメージで「目立つことが嫌い」とか「我を抑え、周囲の人の気持ちを優先できる」とか「常にまじめで、バランスを保てる」という人物で「控えめに人の役に立ちたい」など、とても“いい人”な印象の色で、こちらも面接官の受けはいいです。

 

こうしてみると「ブラック」が一番社会人として問題のありそうな色なんですが、一番人気なのが驚きですね。3色全て見た目は無難な地味色で没個性なのが気になります。リクルートスーツは面接官の目があるので分かりますが、入学式は多少個性的でもいいような気がします。
せめて女性なら「ベージュ」のスーツにするとか…。

 

私が大学に入ったころはバブルの時代札束だったので、経済的に余裕があったから華やかだったのだと思いますが、今のリクルートスーツの団体はなんだか味気なく、「こんなに個性を表さないで、この先の日本は大丈夫かな?」と少し心配になりました。

(個性がとても重要な芸大でまでそうなんて大泣き

「せめてインナーに“自分の色”をプラスしてね」と思いながら、新入生たちの門出を密かに祝っていた私でした。