カラー健康

「黒の化粧」は悪いものから自分の身体を守るため

投稿日 2019年06月04日

歯磨き剤をつけた歯ブラシ

 

6月4日は虫歯予防デー歯ブラシ持った歯です。6(ム)4(シ)から来ているので由来が分かりやすく広く知られた日となっています。学校では歯科検診なども行われ歯医者さん歯医者さんがお忙しい時期だと思います。

 

虫歯になる原因としては、糖分(特に砂糖)と細菌(ミュータンス菌)と歯の質の3つの条件が揃い、細菌が作り出す酸によって歯が溶けてしまうことで起こります虫歯。条件が揃った後、時間が経過時間の流れすればするほど発症リスクは高くなりますので、こまめな歯磨きと、糖分ショートケーキを取りすぎない生活で予防できます。

 

ただ、せっかく歯磨きをしても、正しい歯磨きでなければ、奥歯についた歯垢までは落とすことができません。歯垢は舌で触るとべとつきやざらつきとして感じられる粘性の細菌の塊で、薄黄色をしています。歯垢1mg中に10億個の細菌がいるといわれていますので、恐ろしいですね困り顔

 

私も何度か歯医者さんで歯磨き指導をしてもらって、その通りに行っているつもりなのですが、歯磨き後に奥歯にざらつきが残っていて、やり直すことも多いです。正しい歯磨きは中々難しいですポロリ

 

今では、薬用歯磨き剤歯磨き剤として、フッ化物入りで歯の耐酸性を向上させたり、歯のエナメル質の再石灰化作用があるものなどがありますが、昔の日本にも予防歯科材料と呼べるものがありました。

「黒の化粧」と呼ばれる“お歯黒=鉄漿(かね)”です。

“お歯黒”は日本だけでなく中国南西部や東南アジアの一部の部族の風習でもあり、現在でも行われているところもあります。

 

お歯黒の起源は分からないのですが、初期には草木や果実で染める習慣があり、後に鉄を使う方法が鉄器文化とともに大陸から伝わりました。塚や墓に埋葬された人骨やハニワにはお歯黒の跡が見られます。かなり古い時代からあったということですね。お歯黒をした歯には虫歯がほとんどなく、また虫歯になってから結婚してお歯黒を付け始めたと思われる女性では、死ぬまでそのまま進行が停止していて、お歯黒には虫歯を予防する作用があるばかりでなく、その進行を抑えさらに、知覚を鈍くする作用のあることも認められているそうです。

 

日本では、平安時代から広く行われるようになり、女性だけでなく男性も行っていました。江戸時代になって皇族や貴族以外の男性は行わなくなりますが、女性にとっては既婚者の証でした。歯が黒く輝いているほど美人であるとされ、新婦の婦人は毎朝、清掃と塗布を繰り返していました。こういう清掃の努力も虫歯予防に貢献していたようです。お歯黒の材料は各国とも植物のタンニン(渋)と第一鉄の化合物が用いられていました。日本での材料はタンニンを主成分とする「ふし粉」と酢酸第一鉄を主成分とする「鉄漿水」(かねみず)と呼ぶ溶液からなり、お歯黒筆や房楊枝を使って交互に塗っていました。

 

タンニン(渋柿の渋の成分)は、歯や歯肉のたんぱく質を凝固・収れんさせ、細菌から守る作用があります。また、鉄漿水の主成分である第一鉄イオンには、エナメル質の主体であるハイドロキシ・アパタイトを強化して耐酸性を向上させる効果があります。さらに未反応の第一鉄イオンは、呼吸の酸素によって酸化され第二鉄イオンとなり、未反応のタンニンと結合して黒い耐溶性のタンニン酸第二鉄となって歯の表面をおおい、細菌との接触を予防する効果があるのです。

 

そして、お歯黒の材料は歯垢をよく取り除いておかないと歯に染まらないということもあったので、当時の女性たちは楊子で丹念に取り除いていました。つまり目的をもって効果的に歯磨きをしていたわけで、これも虫歯予防にとって大切なことでした。

 

お歯黒がきれいに保たれる期間は個人差があり、毎日塗り替える人もいれば1週間に1度の人もいたのだそうです。身分の高い人は夫が起きてくる前に身だしなみ鏡を整えるという意味でも毎日お歯黒をしていたようです。取れてきて白い歯が見えるというのはだらしないことで、そうなる前に塗り直すというのがマナーだったのだとか。当時はお歯黒をした女性はどこか独特の妖艶な魅力があるという感覚でした。お歯黒は、見た目だけではなく口内のトラブル予防という意味で理にかなった優秀な風習だったのですね。

 

このお歯黒は欧米人から奇異に映り、欧米文化を取り入れる方針の明治政府によって明治3年の太政官布告で禁止令が出されます。当時の皇太后陛下がおやめになったことをきっかけに、都市部の方から一気に廃れていくのですが、第二次世界大戦の初期頃でも、地方においてはお歯黒を付ける姿をみかける場面もあったということから、お歯黒が見られなくなるには約半世紀の時時間の流れがかかっています。
千年以上も続いた風習でしたから無くなるのにもそれなりの時間がかかりますよね。

 

現在では、審美観の変化から、大多数の人がお歯黒を美しいものとはとらえておらず、伝統演劇や花柳界以外では美的な要素よりも醜悪さや滑稽さを演出する道具として用いられることが多くなっています。格闘技などでは相手に恐怖心を与えるために黒いマウスピースをつけたりする選手もいるほど
本来白いはずの歯のある部分が黒いというのは私たちにとって違和感のあるものになりました。
ですが、お歯黒の有効成分は注目され、製品として開発されています。例えば、歯に接着するセメントに加え入れて、治療後の歯がむし歯になりにくいように利用されています。

 

因みに、もう一つ「黒の化粧」として有名なのが、古代エジプトのアイメイクエジプトの目に見られる太いアイラインで目の周りを真っ黒に囲うものです。コール墨で作られていて害虫や日差し黄色い太陽などから目を守るためと言われていますが、これも美しさトラブル予防のためでした。お歯黒と役割が似ているように思います。

 

心理的に“黒”を使うシチュエーションとして「周囲の人や刺激などから自分を守りたいとき」というのがありますが、これは古来より黒が悪いものから身を守るために使われていたことと無関係とは思えません。

 

「歯はより白い方が美しい」と目立つほど白く輝く歯きれいな歯にコーティングする人がいるくらいの現代にお歯黒は考えられないので、ホワイトニング効果のある歯磨き剤で「頑張ってきれいな歯にする努力を続けよう歯ブラシ歯磨き剤!」と思いますが、目の方は昔に倣って「サングラスサングラスをかけない時には黒のアイラインを太目に引いて、日差しから目を守ってみようかな…」と思います照れ笑い

 

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HADAEMI KYOTO 店長 竹村禎子
カラー&イメージコンサルタント
・文部科学省後援 ファッションコーディネート色彩能力検定1級

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・商工会議所認定 カラーコーディネーター検定(ファッション色彩)1級
・文部科学省後援 色彩士2級

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